在宅医療研修会

【第9回】北区医師会在宅医療研修会のご案内

日時: 終了いたしました(平成23年12月3日・土曜 PM2:00〜PM4:00)
※今年は94名の参加があり、活発な討議が行われました。
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場所: 大阪東急イン 2階 オークルーム
大阪市北区堂山町2−1 TEL:06-6315-0109

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製品紹介 PM1:45〜PM2:00
総合司会 大阪市北区医師会 理事  中井  健
会長挨拶 大阪市北区医師会 会長  古林 光一
メインテーマ 『 口は健康のもと 』
特別講演 I
歯周病と全身疾患(PM2:00〜PM3:00)

大阪歯科大学 歯周病学講座 准教授  高津 兆雄 先生

 歯周病とは歯の周りにある歯肉、歯槽骨、セメント質、歯根膜という組織にお口の中の細菌によって引き起こされる感染症のことです。
 体はこのような細菌の感染から自己を守ろうと防衛反応をおこします、これが免疫反応です。この免疫反応によって体の細胞たちはいろいろな生理活性物質を放出し、情報交換をします。この物質をサイトカインと呼びます。
 このサイトカインが全身の疾患(糖尿病、アテローム性動脈硬化、早期低体重児出産)を助長し病変を悪化します。このようなことから、歯周病になると歯がぐらぐらして噛めなくなるだけでなく、全身の疾患も悪化します。
 ではどのように歯周病を予防、治療すればいいのでしょうか。病気を治療するには、まず原因を除去することから始まります。先ほど述べたように歯周病の原因は口腔内の細菌です。この者たちは私たちよりはるか昔に誕生し、私たちと共存共栄しているのです。抗菌薬で皆殺しにすると、未知の細菌が口腔内に繁殖し、私たちはその細菌に免疫がないので重篤な症状を引き起こします。また、この共存共栄している細菌は自分たちの周りに城壁を作り、外からの敵に備え、消毒薬、抗菌薬、免疫細胞に抵抗します。ではどのようにしたらいいかというと、原始的ですがこの細菌たちを機械的に物理的に歯面から擦り取ればいいのです。ブラッシングですね。ハーバード大学医学部発表「100歳まで健康長寿の10か条」の一つに、『フロッシングと歯ブラシ、定期的な歯科検診』があります。
 このように、歯周病は歯がぐらぐらしてきて美味しく食事ができなくなるだけでなく、全身の疾患をも悪化します。健康長寿のためにも正しいブラッシングで歯周病にならないようにすることは大変重要です。
特別講演 II
嚥下・誤嚥のメカニズムと、嚥下障害への対応(PM3:00〜PM4:00)

独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター
耳鼻咽喉科 医長  林  伊吹 先生

 嚥下は、日常生活の中で特に気にすることなく行っている運動です。しかし嚥下障害になると、1回の嚥下は非常に難しいものとなります。
 嚥下には、(先行期、)口腔準備期、口腔期、咽頭期、食道期があります。嚥下障害に対応するには、まず、どの期が障害されているかを考える必要があります。重要なのは、口腔期の障害と、咽頭期の障害です。
 口腔期は、随意期であり、これが障害されると、口腔内で食塊を保持できずに咽頭へ流れ込んだり、食塊を咽頭へ送り込むことができなくなります。嚥下開始前の誤嚥につながります。
 咽頭期は、不随意期であり、0.5秒のイベントです。意識でコントロールすることはできません。ここが障害されると、誤嚥につながります。咽頭期の障害は、喉頭挙上期型誤嚥と、喉頭下降期型誤嚥に分類されます。挙上期型は主に延髄より上位での障害(上位ニューロン障害)が原因となり、下降期型は延髄以下(下位ニューロン障害)が原因となります。頭頸部領域の手術でも嚥下障害をきたすことがあります。
 咽頭期の障害の対処法は、挙上期型と下降期型で異なります。したがって、嚥下障害の原因となった疾患が上位ニューロンの障害か、下位ニューロンの障害か(もちろん両方ということもあります)を知っておく必要があります。挙上期型の場合は喉頭を挙上させる対処を、下降期型の場合は食道入口部を開大させる対処をします。
 在宅医療の場では、病院で行うような検査や治療はできませんので、視診、触診で判断し、代償法や食事形態の選定で対処することが多いと思います。限られた範囲であっても嚥下障害に対応するためには、正常嚥下のメカニズムを理解したうえで、どのように正常嚥下と異なっているかを把握し、それに見合った対処をすることが大切です。